坂本龍一
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坂本龍一
現在、インターネットの普及により、誰もがあらゆる音楽情報に簡単にアクセスできるようになりました。それによって、音楽はいい意味でも悪い意味でも優劣をつけられることなく、並列化されつつあります。旧来の型にはまった音楽観―西洋クラシック音楽を優れたものとし、伝統音楽やポピュラー音楽を劣ったものと見る―が相対化されたことは歓迎すべきことです。実はそのような価値観の見直しは20世紀の最後の四半世紀に起こってきました。 こうした歴史の見直しもあって、今わたしたちは、ありとあらゆる音楽が無差別に並列された混沌の前に立たされることになりました。そのような状況に対してscholaが企てるのは、ほどよい一般性をもった文化の教科書をつくりだすことではなく、圧倒的に突出した音楽を拾いつつ、そこから普遍性をもったスタンダード(標準)をつくりだそうという、きわめて野心的なプロジェクトなのです。このようなスタンダード(標準)の選定は、たんに広くバランスのとれた知識だけによっては不可能でしょう。場合によっては、選者が個人的なこだわりから特殊な音楽を選ぶことがあってもいい。そういう特異性からこそ、普遍性に通ずるスタンダード(標準)は生み出されるのです。文化の規則性からはみ出した例外であるからこそ、いつでもどこでも新しく響く―それこそが本当の「古典(クラシック)」と言うべきではないでしょうか。スコラを通じて、1人でも多くの若者が音楽に目覚め、精神や才能を磨くための力添えができればとの思いが込められています。

commmons: schola vol.7 Beethoven

¥9,350 (税込)
コモンズ:スコラ、シリーズ第7巻は、クラシック第5弾となる「ベートーヴェン(Beethoven)」。激動のヨーロッパ革命期に生まれ、19世紀の幕開けを告げたベートーヴェン。かつて権威の象徴として「楽聖」と謳われた作曲家の現代的な魅力が、坂本龍一により編まれた珠玉の名演奏(CD)[※1]と豪華解説ブックレット[※2]を通して明らかになる。

[※1]グレン・グールド、ウィルヘルム・バックハウス、ヴァレリー・アファナシエフによるピアノ演奏、ブーレーズによる交響曲「運命」、フルトヴェングラーによる通称「バイロイトの第九」他を収録。
[※2]浅田彰・小沼純一とともに京都「春秋座」で行われた公開講座(2010年7月)の内容を織り込んだ鼎談、宮澤淳一・満津岡信育・片桐卓也・相場ひろ・舩木篤也・那須田務による収録曲解説、他を掲載。
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