角田陽太 インタビュー

角田陽太 インタビュー

ガチャガチャ使えるエブリデイプロダクツ


ーものを選ぶ基準や、ものへのこだわりについて教えてください

ざっくり言うとガチャガチャ使えるようなものを買っています。骨董が好きで集めているのですが、古い貴重なものでも飾っておくだけではなくて実際に使うと判断できるものを買いますね。使ってからこそ、そのものの良さがわかると思っていて。
見た目は、あまり華美な装飾のないシンプルな形状のものが好きです。色も理由がある色なものというか。民芸も好きなのですが、中国の繊細な感じのものではなくて、もっとぽってりしていて使えるものが好みです。
機能か見た目の二択でいうと見た目。機能的にどうかというのは自分が工夫すればどうにでもなりますし。見た目が気にいるということも含めて機能だと思っているので、見た目が気に入らないけど機能的に優れてるものには手を出しません。


ー昔と変わってきたことはありますか?

若い時よりは高価なものにも手を出せるようになってきましたが、本質的なところは変わっていません。



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ーものの情報源はどこからですか?

例えば骨董だと、いいセラーが集まる会があって、そこに行くことで見る目がある人を通したものに出会えるので、全てを見る必要はなくなりますよね。レコードも、このレコード屋に行けばいい音楽が揃っている、といったような。
見るのも聞くのも無限大にあるものの中で、自分の美意識に近い人を見つけることはすごく大切だと思います。


ー最近、何か買い物をされましたか?

BMX。
80年代のヴィンテージのBMXを海外から買いつけて、日本で組み立てる有名な方がいるのですが、その方と相談をしながら徐々に作り上げていてそろそろ組み上がります。パーツも全て海外から取り寄せたのですが、面白いのは買い物に慣れてくると、見る目が養われてくるんですよね。うまく買い物ができるようになっていく。最初のまだ知識がない時は自転車屋などの現場に行って、古いBMXをたくさん見るんです。見るということはすごく大切で、デザインの世界でもそうなのですが、眼の仕事の延長が手の仕事になると思っています。


ーものの対価は気にしますか?

すごく高価なものはもちろん気にしますが、自分の美意識的にベストなものを買いたいので、価格はあまり気にしません。
プロダクトデザイナーとして、価格競争は少し馬鹿馬鹿しいなと思っていて、それだったら商品力をつけて、価格ではないところでその人の物欲を刺激するような仕掛けを作ることが大切なんじゃないかなって思います。






ー断捨離されますか?

定期的にします。DJをしていて、レコードが好きなのですが、永遠に増えていってしまうので、その増え方を微増にさせるように何かを買ったら、いらなくなったレコードを売ったり人に譲ったりするようにしています。


ーコレクションしてるものはありますか?

骨董という枠での食器、レコード、自転車。


ーここ数年で一番ヒットした買い物を教えてください

DJをするのですが、主線で買うものを12インチから7インチに変えたことが一番大きかったかな。7インチの方が、DJをするときにたくさん持っていけるという収納の問題もあるのですが。7インチという手に収まる不思議な大きさが愛らしいサイズというか、自分の中での愛着に繋がっているんじゃないかなと思います。






ー角田さんを構成する3つのアイテムを教えてください

レコード。DJはもう20年くらい前からやっていてその頃から買い続けています。

食器。2003年から2008年までイギリスに住んでいたのですが、古いものを大切にするいう文化があるので、毎週末どこかで蚤の市が開催されていて、毎週通っていたことから集め始めました。最初は物欲を満たすためというより、デザインの参考としてという意味合いが大きかったですね。デザインの勉強から入っていき、いずれその物欲を刺激する何かを買い求める方向にシフトしていきました。物欲を刺激するものは何かっていうことを、そのきっかけみたいなことが分かってくると、売れるプロダクトをデザインできるようになってきて。古いものを集めて、新しいものを生み出していくというように転換できるという感じです。

自転車。彫刻よりも道具が好きで、自転車は道具の究極系だと思っています。すごくシンプルなんだけど、自分の移動速度を何倍にもしてくれるすごい道具。次の100年も変わらないんじゃないかなっていうような、本当に美しいところが魅力的です。


ーどういうところから、ものによる豊かさを感じますか?

愛着を感じるとき。だからこそ僕は使っていたいんです。使うときももちろんですが、使わないときでさえもそばにあることで、毎日の生活が楽しくなるようなもの。






ー角田さんにとっていいものの価値とは何ですか?

人に愛着を持たせるもの。このものと一緒に生きていきたいなっていう、愛着を持ってもらえるものを自分も生み出しているつもりです。


ー人によるキュレーションというコンセプトについて、どう思われますか?

美意識が共通している人、認識を共有できる人を見つけ出すことはすごく大切だと思っていて。一つフィルターを通してものを買うというHATCHがやっていることは、ものを迎え入れるという行為に対してごく自然なことだと思います。


ーHATCHでのアイテムセレクトのコンセプトを教えてください

本当にガチャガチャ使えるもの。どんどん生活のシーンに取り入れていってほしいもの。


ーHATCHのお客様へ一言

僕に限らず、自分と似た美意識を持つ人を是非探してみてください。


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