近藤昌 インタビュー

近藤昌 インタビュー

真心


ーものを選ぶ基準を教えてください

今回のセレクトのテーマでもある真心が込められているもの。作る方がそのものに対して真っ直ぐで、愛情を持っていて、優しさもあり、思い入れが深くて、一生懸命やられているもの。今の時代、心が動かされるものでないとものは動かないと思うんです。真心が込められたものは作っている方の顔も見たくなるし、そういったものが好きです。


ーものの情報源はどこからですか?

すごく不思議なことに、思ったことや考えていることが向こうからやってきてくれる人生なんです。こういうものが欲しいなと考えていると自然と出会うんです。



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ー最近、何か買い物をされましたか?

日々よく買い物はしていますが、最近嬉しかったのは自分用にカスタムしたサーフボード。
僕の癖なのですが、例えば洋服を買うと1週間はそれを着続ける。どうしたら似合うようになるか、毎日コーディネートのパターンを変えて着てみるんです。そのサーフボードは僕が目指すスタイルで乗れるように作ってもらったのですが、教わっているサーフィンのコーチがその板で乗ると超いい感じなのですが、僕はそこまでまだまだ辿り着いていなくて。だから洋服のこれが似合うようになりたいというのと同じように、このサーフボードをかっこよく乗れるようになりたいんです。


ーものの対価は気にしますか?

真心込めて、一生懸命そのものを作っていることに対して、自分が納得できるのであれば値段は気にしません。








ー断捨離されますか?

よくします。2ラックに収まるくらいの洋服の量が理想。でも実際は全く収まらず、家には洋服がたくさんあります。


ーコレクションしているものはありますか?

洋服屋からクリエイティブの方に行こうときっかけになったのがブルース・ウェーバーなんです。45年くらい前、日本にまだあまり洋書がないとき、GQなどの雑誌にファッションページがあって、今ではカメラマンの名前は表に出ていますが、当時は雑誌の端っこにちらっと出てくる程度。この写真すごいなと感動していたら、ブルース・ウェーバーと小さな字で書いてあったのが出会い。その頃からブルース・ウェーバーの切り抜きや本、Tシャツ、ウェーバービルトとか、ブルース・ウェーバーのコレクションがは相当持っていますね。








ーここ数年で一番ヒットした買い物を教えてください

GENTEMSTICKのスノーボード。
北海道ニセコ発のスノーサーフブランドのGENTEMSTICK。これに出会ってからスノーボードのスタイルも変わったし、日本でこれだけクオリティの高いものを作れるんだと感心しました。


ー近藤さんを構成する3つのアイテムを教えてください

紺ブレ、M65、薪。
紺ブレは洋服の中の基本中の基本なアイテムだと思っているんですね。紺ブレを着こなせないと何も始まらないくらい大切なアイテム。紺ブレもM65もずっと着続けないとなかなか似合わない。ただのブレザーだしただの軍モノではあるのですが、年齢を重ねるとともに似合っていく過程が好きなんです。








ー近藤さんにとってものによる豊かさとは何ですか?

この前取材で、近藤さんにとってラグジュアリーとは?という質問に、僕にとってのラグジュアリーはストーブに入れる薪って答えたんです。
8年ほど前から東京と千葉県一宮の二拠点生活をしていて、薪ストーブが欲しかったのですがちょっと高いんですね。そこで比べたんです。右手にリチャード・スタークに作ってもらったクロムハーツ仕様のロレックス、左手にストーブ。どういう価値の違いがあるかといろいろ調べていくと、ストーブは遠赤外線で家中が温かくなる。他の暖房器具とは全く違う暖かさ。ストーブの上で料理ができる。お湯を沸かしておくと加湿してくれる。周りに洗濯物を置いておくと乾燥する。燃えるゴミは全部燃やせるからからゴミが出ない。灰がたまるところで作る焼き芋は絶品。灰は肥料になる。腕時計は着けているとみんなにかっこいいと言われるけど今はたまにしか着けない。時計を売って薪ストーブを買いました。なので、うちの薪ストーブはクロムハーツって呼んでいます(笑)。
要は、これが豊かさということです。心の豊かさです。


ー近藤さんにとっていいものとは何ですか?

作っている方の温かさ、真心を感じられるもの。






ーどうしてセレクターのオファーを受けていただけたのでしょうか?

キャラクターがある様々な分野の面白い方々が、それぞれの審美眼を通してものを紹介していて、その一押しというのがインスタグラマーや著名な人がいいというのと種類が違うと思うんですね。そこがすごく面白くて感心しました。僕も皆さんに真心をお届けしたいです。


ーHATCH のお客様へ

二拠点生活で、東京から100km離れた場所で海に入っているとぼーっとする瞬間があって、その時間というのはなかなかないと思うんです。全てが抜けていくような感覚で、すごくリフレッシュできて。尖ったことばかりを言っている人たちに、そういう力の抜き方に気がついて欲しいですね。僕自身がこれまでピラミッドの先みたいなところで散々やってきて60歳を過ぎてから気がついたので、HATCHを通じて少しでも伝わればもっと人間的に豊かな人が増えるのかなと思っています。


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