水野学 インタビュー

水野学 インタビュー

これぞ定番とよべるもの

大学でグラフィックデザインを学び、広告会社に入社、その後25歳でフリーになり、good design companyを設立しました。学生時代から、「デザインて、カッコよかったり、おしゃれでかわいければそれでいい、っていうことじゃないんじゃないか?」という思いがありました。授業の中で、なんのためにデザインをするのか、というようなテーマに触れたとき、僕は「デザインとは、よくすること」と書いたんですよね。問題の原因を発見し、デザインによってその問題を解決し、より良い状態へと変えていく。それがデザインなんじゃないか、と。直球過ぎる社名は、そんな思いからつけたものです。外国人の方からは特に、笑われるんですけど(笑)。デザインには、機能デザインと装飾デザインがあると思っています。いくら装飾デザインが優れていても、機能を満たしていなければ、そのデザインは良いとは言えない。どれだけおしゃれでも、どれほど目を引く面白いものでも、ひどく使いにくかったら、それは良いデザインとは言えないと思うんです。その意味で、今回選んだアイテムはどれも、機能デザインも装飾デザインもバランスよく満たしているものだと言えると思います。



誰もがいいと思える定番品

市場が成熟して、世の中にモノが溢れてくるとどうしても、企業は差別化に走りがちです。ちょっと変わったモノをつくることで他との差別化を図り、目立たせようとしてしまう。もちろん、当然の流れです。でも、それが行き過ぎて、誰もがいいと思える定番的なものがなくなってしまっているんじゃないか?次第に、そんな風に感じるようになりました。ドーナツ化現象、と僕は呼んでいるのですが、過剰に装飾デザインが施されたものや、不要な機能ばかりがやけについた商品が増えて、シンプルだけれども本当に欲しい、「ど真ん中」のものが手に入りにくくなっているように感じたのです。じゃあ、自分たちでつくろう、ということで、2012年に、プロダクトデザイナーの鈴木啓太さん、中川政七商店の中川淳さんと共に『THE』というブランドを立ち上げました。



『THE』というブランド

たとえば、THEジーンズといえばリーバイス501。そんな風に、「○○と言えばこれ」と呼べる定番アイテムを作っていこう、というブランドです。『THE』でこれまでに作ったアイテムは、グラス・皿・椀などの食器類から、Tシャツやシャツなどのアパレル類、醤油差しやクッキングペーパーなどのキッチン雑貨、さらにはPUMAとコラボしたフットサルシューズ(完売)、メモパッドのロディアとコラボしたブロックメモ、雑誌「VERY」やブリヂストンサイクルとコラボした自転車……と、多岐にわたります。2013年には丸の内のKITTEに『THE SHOP』を出店し、オリジナル品とセレクト品を扱っていますが、ショップ内は更にカオス。あめ玉から掃除機まであらゆるジャンルのものが揃っています。でも、僕らの中では一貫していて、何の不思議もない。形状、歴史、素材、機能、適価という「THEと呼ぶに相応しい5つの条件」と照らし合わせた上で、「定番たり得るもの」と思えたものだけが並んでいます。



これから定番になり得るものだけをセレクト

今回セレクトしたアイテムは、THEで作ったオリジナル商品と、THE SHOPに並ぶセレクト商品の中から選びました。どれも、これからの定番になり得るものだと自信を持っています。とてもシンプルですが、実際に使っていただくと、その使い勝手の良さや心地よさに、きっと気付いていただけることと思います。ぜひ、生活の中に取り入れてみていただけたら嬉しいです。


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