周りに流されず、自分がいいと思うものを選ぶ
絵を好きになったのは家族の影響ですね。母親が漫画家を目指していたことがあって絵がうまくて。それと一つ上の兄がいるのですが、兄が漫画を描いていたのを見て真似して描くようになりました。小学生の頃はジャンプ黄金期で、読んでは真似して描いて、友達に見せるとみんなが「うまいね!」って言ってくれるのが嬉しかったんです。小中高と授業中は落書きばかりしていて、そのまま今に至る感じです。
クラスの中で絵は上手な方ではあったのですが、ナンバーワンではなかったんです。小学生の時は、おっちゃんていうあだ名の子がいて、ドラゴンボールがめちゃくちゃ上手くて。おっちゃんに勝てないのであれば、違うものを描いて面白くする。ストレートに勝てないのであれば、違う方向性で勝負できないかなみたいな、そこで培ったことで今に活きていることもあるかもしれないですね。
大学を中退して、STUSSYでショップ店員をしていました。その後に、洋服のOEMの会社に入って、グラフィックを作らせてもらうこともあったのですが、OEMなので自分の名前が出るわけではなく。そのことにちょっとした不満というか、これでいいのかなって考えるようになりました。自分のグラフィックなら、名前を出してアーティストとしてやりたいなと。そのOEMにいた時に、ある会社からオリジナルブランドをつくるからグラフィックをやってくれないかというお話をいただいたのですが、別の会社に所属しているし名前を変えようと思って。それと、NIGO®︎さんとかスケシンさんとかかっこいいじゃないですか。そういう憧れもあって、「岡」という名前なのですが、逆にしたら「かお=顔」なので、それを英語にして「face」として初めての活動をしました。
目と口で描く顔のモチーフ
そこから色々とグラフィックを作って、雑誌にアイテムが掲載されるということはあったのですが、faceとしての露出はあまりなかったんです。ブランドをやりたいというよりアーティストになりたいという想いが強かったので、何かきっかけがないかなって考えていて。当時、Instagramが流行り出したときで、イラストをアップしていきました。そうしたら、突然Instagram経由で、anna magazineという雑誌からイラストのオファーをいただいたんです。初めての仕事なのにイラストを50個くらい依頼いただいて。少しづつ自信もついて、徐々に仕事の幅が広がっていきました。
目と口で描く顔のモチーフは、過去に遡ると、、当時付き合っていた彼女とプリクラを撮ったときに、なんか絵を描いてよって言われて、似たような顔を描いていた気がします。James Jarvisが好きだったので、それを真似て描いていたのですが、イラストを描くときはこの顔に近いものを描いていましたね。WACKの渡辺くんが大学時代のアルバイト先の友達なのですが、渡辺くんから元BiSのプールイちゃんのジャケットのデザインを依頼されたことがあって、その時のイラストもこんな感じの顔を描いていました。目の形やバランスは少し変わってきましたが、昔から描き続けてきて進化して今に至っています。
平和ボケした日本人
アメリカ同時多発テロの9.11事件が起きた時に、兄がニューヨークではなかったのですがアメリカにいたこともあってより身近なことに感じたんです。すごいことが起きてしまっているんだと。その1年後にニューヨークに行ったときに、ワールドトレードセンター跡地のグランド・ゼロに行きました。あの映像をテレビでは見ていたのですが、実際にその場所に行くと、この都会のど真ん中にあったはずの建物が全部崩れてなくなっていて、壊れた骨組みで十字架が作られていたんですよ。すごく衝撃を受けたんです。こんなことが起きたのに、僕ら日本人って何も考えていないし大丈夫なのかなと思って。そこからピースという言葉を使うようになり、表現としては使ってはいなかったかもしれませんが、僕の中ではそれ以来「平和ボケした日本人」というテーマをずっと持って作品を作っています。
見た目が自分好みのものはすぐ買っちゃいます
機能性は二の次で、見た目でいいなと思ったものはすぐ買っちゃいます。その時の部屋に合うかどうかとか、自分の洋服のスタイルに合うかとか関係なしに、いいなと思ったものは衝動買いすることが多いですね。もちろん機能性に惹かれて買うこともありますが、まずは完全に見た目。買ったあとに実際に使ってみて機能性がよかったら、「これ機能性もいい!ラッキーじゃん!」みたいな(笑)。
ウインドウショッピングが好きで、そこから欲しいものを見つけることが多いですね。それと、ネットオークションは毎日見て、気になったものが見つかればすぐ買ってしまいます。気になっているキーワードで検索して、そこからサジェストで出てきたものの中から気になるものをまたネットで調べて、これってこういうものなんだって興味が湧いてきて、そこからさらに掘っていく。掘って掘って、気になるものは買っていく。
その時その時でマイブームがあるんです。一時期は、あるものをずっと買い続けて。次はこっちを買い続けて、というように。でも、トートバックはずっと集めていますね。どこかに行った時や美術館で売っているものなど、気になると買っちゃいます。あとはヤンキースのキャップも気になるものがあると買ってしまうかな。そんな感じなので、家にはものがたくさんあって、しかも断捨離が苦手なので、、奥さんに言われて、友達にあげたり売ったりします(笑)。
何か欲しいものが出てきた時に、そういえば前にそんなの買ったことあるなと探したら出てきて、これめっちゃいいじゃん!っていう時があるんです。そういうときはものを持つことによる喜びや豊かさみたいなものを感じますね。いいものの価値とは、自分に合っているかどうかが全て。他のたくさんの人がすごくいいと言っているものでも自分に合わなければ、それは自分にとっては価値がないものだと思うので、自分基準が強いですね。
これでもいいのではっていう指標になるセレクト
HATCHは、以前から知っていて、面白いサービスだなって思っていました。元々ファッションが好きでショップ店員をしていたこともあり、現実的ではなかったのですが、いつか自分のセレクトショップができたらなあと思っていました。自分のお店だったらこれを置きたいなとか、そういう基準でものを買うことも多かったんです。今回セレクターのお話をいただいたときに、当時自分がやりたかったことができて面白そうだなって、参加させていただきました。
今回、何をセレクトしようかなと考えたときに、結構難しかったんですよね。最初はうまくセレクトできるでしょと思っていたのですが、さっき話したように、本当に自分が面白いなと思ったものをバンバン買っていくスタイルなので、売るものとして考えた時にそれってどうなのかなって。
日本人ってみんながいいって言っているものをいいとする風潮があるじゃないですか。そうではなくて、僕のセレクトで、これでもいいのではっていう指標になってくれればなって思います。ノーブランドでいいものもあるし、もちろん歴史のあるブランドでいいものもある。そういったことをプロデュースできるような力をつけられるきっかけになれば嬉しいですね。