横町健 インタビュー

横町健 インタビュー

遊び心の中に一番本質的なものがある

元々学生の頃から飲食店でアルバイトをしていて、人と接したり、人を喜ばせることがすごく好きだったんです。その時働いていたお店が常連さんばかりの居酒屋で、常連さん全員の下の名前とファーストドリンク、好きな食べ物が全部頭の中に入っていました。なので、お客様が見えたらすぐにオーダーを入れて、席に着いた瞬間には、ファーストドリンクとおしぼりを出す。そうすると、ハッとされる。その時点で僕の勝ち。あとは、今日は何々がおすすめなのですがいかがですか?って言うと必ずオーダーしてもらえる。そんなことををやってるうちに、これを徹底的にやり続けたら、売り上げを倍にすることができるなと思って。あるとき社長に交渉したんです。売上を倍にするので、給料も倍にしてくださいって。そしたら社長は絶対に無理だからいいよって。翌月にすぐ売上は倍になりました。その時に、これは自分でやろう、自分のお店を持ちたいって思ったんです。カフェが好きだったので、カフェのお店をやろうって。それに犬が好きだったので、犬も入れるカフェをやろうって決めたのが23歳くらいの時。そこから、まずは、和食とイタリアンができればある程度フードに関してはおさえられるだろうと思って、昼はイタリアン、夜は和食で、5年ほど修行しました。次に実際のカフェの現場を知らないといけないなと思い、夜はカフェのアルバイトをはじめました。自分のお店は自分で設計したかったのですが、設計の知識がなかったので、昼は専門学校に通って設計とデザインの勉強をしました。最後はいい物件の見極め方、いい人の育て方、いいお店の作り方を学ぼうと思い、飲食店専門のコンサルタント会社に勤めました。そこで不動産屋とのコネクションも作り、物件も探しました。 起業を決意してから、自分のお店をもつまでちょうど10年。参宮橋にanea cafeの1号店をオープンさせました。 



全ての根本にあるのが誰かを喜ばせること、驚かせること

BOTANIZEをはじめたのは2014年。元々小学3年生の頃に、父親にサボテンを買ってもらって。そこから部屋中サボテンで埋め尽くされるくらいにハマってしまうようなサボテン少年だったんです。中学に入ると色気付いてやめちゃったのですが、カフェも落ちついて少し余裕が出てきた頃に、知り合いのところに遊びに行ったら、塊根植物があって、一つ譲ってもらったんです。その時に、当時のサボテン少年の気持ちがフラッシュバックして、塊根植物のことを徹底的に調べまくって、日本中にあるものを買いあさりました。塊根植物の魅力は、まずこの独特な丸っこいフォルム。マダガスカルなどの過酷な環境で育った植物なので、枝が途中で折れてしまったり、強い日差しで焼けてしまったり、動物にかじられていたり、それでも2,30年かけて出来上がったものを見ると、色々な想像ができて。そこに凄くロマンを感じるんです。会社として運営しているのでもちろん利益をあげないといけない。けれど、それ以前の根本的にあるのが、この変わったヘンテコな植物をより多くの人に知ってもらいたいという気持ちです。ただ植物屋をやっていると、今植物が好きな人の目には触れるけど、ファッション好きとか、フィギュア好きとか、そういう人の目には触れない。より多くの人に知ってもらうにはどうしたらいいのか。そこで、異業種とのコラボに目をつけました。ユナイテッドアローズ、ビームスでのPOP UP STOREやVANSとのコラボ商品の販売など。例えばビームスでのPOP UP STOREでは、ビームスにヘンテコな植物が並ぶ。洋服を買いに来た人が、なんだこれと、興味を持つきっかけになる。その逆もあって、植物のファンが、ビームスのこういう洋服いいなって思うとか。お互いwin-winでかつ、お客様も新しいものを知ることができる。とにかく、三者が楽しくて、ハッピーになれる。異業種とのコラボはそれが大事だと思うんです。とにかくこの植物をより多くの人に知ってもらいたいんです。別に独り占めでもいいんですが、やっぱりよりたくさんの人に共有したい。こんな面白いものあるよ、こんな良いものあるよ、これ知らないでしょって。で、紹介した相手がうわっ!てなるのが楽しい。自分もそうで、面白いものに出会った時に、うわこれ何!って。一生そういう感動をしていたいし、一生そういう感動を与え続けたいんです。買った人が、それすごいでしょってまた別の人に自慢して。それがどんどん広まっていけば、みんな幸せになるんじゃないかな。カフェも植物の事業も、普段のもの選びも、人を喜ばせたりとか、驚かせたい、というのが一番根本にありますね。



人に紹介したいものを自分で持っていたい

何かものを買う時の基準は、とにかくビジュアル。正直、機能性はそこまでこだわりません。例えば、車でも服でもそうですけど、自分が好きな服着て、乗りたい車に乗って、仕事に向かえばそれだけで気分が上がって、1日が楽しくなる。自分がかっこいいなと思うもの、気分が上がるものを常に身の回りにおいておきたいんです。 それは昔から変わらないですね。仕事でもそうなのですが、根本的に、人をいい意味で驚かせたい、喜ばせたい、なにこれ!って思わせたいっていうのがあって。こんな面白いものがあるよって紹介したい。そういうことが好きなので、人の目にあまり触れられていないものが、僕を通して、いろんな人の目に触れてもらえるようになったら嬉しいですね。植物もそうなんです。塊根植物ってめちゃくちゃ変わった植物じゃないですか。こんな面白い植物をもっといろんな人に見てもらって、広めたいなっていうのが BOTANIZEをはじめたきっかけなんです。普段使うものもそうですね。人に紹介したいものを自分で持っていたい。だから、今回、HATCHのセレクターになりませんかという話をいただいた時は、めちゃくちゃ嬉しかったです。 実店舗で買うことはほとんどなくて、ほぼネットで買い物をしていますね。何か欲しいものがある時は、そのジャンルを徹底的に調べます。一日中ネットで調べているので、携帯は2台持ち。よくプライベート用と会社用で2台持っていると思われるのですが、そうじゃなくてネットで調べるのに1台じゃ足りなくて、2台同時で調べるんです。自分がかっこいいなと思うものに出会うまでどんどんネットで掘っていく。時計など身に着けるものは、生涯持っていたいなというものを選びます。つい最近も時計を買ったのですが、高校生の時に買ったGSHOCKのDW5200以来買い換えてなかったんです。年式、型番で欲しいものがあって、それに巡り会うまでは買うのはやめようって。30年ぶりに買ったんです。そういうこだわりもありますね。社会人になってから仲良くなる人って、この人と10年後もまた一緒に面白い話をしてるんだろなって人で。それってものも同じだと思うんです。5年、10年、ずっとこれを持っているんだろうなって。そいういうものに惹かれますね。



僕のこれいいでしょ、が他の人のこれいいでしょに繋がっていく

HATCHの”セレクターによるキュレーション”という、コンセプトを聞いたときは素敵だなって思いました。僕自身も、あの人が使ってるから気になるものもあるし。僕が持っているものを人に共有したいという想いが強いので、お話をいただいた時は、これだ!と思いましたね。例えば、今回セレクトしたカップメン専用のカップとか、別に持っていなくてもいいんですよ。なくてもいいのだけど、持っていると、こんなの持っているよとか、会話のネタになったりまた別のことに派生していったり。そういうものを選びました。僕のセレクトしたもので気分が上がったり、心が豊かになったら嬉しいですね。この後もそういうものを選んでいきたいです。もちろん自分のために買うのもいいけど、これをあの人にあげたいなとか。そういう行動も素敵ですね。 自分がいいと思ったものをみなさんに共有して、またそれを購入された方が友達に「これいいでしょ!」って共有していく。そんな繋がりができたら幸せですね。


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